第11回全国都市緑化きょうとフェア梅小路会場 十彩回廊(展示施設)
(株)空間創研 吉田 昌弘
  • 十彩回廊は、第11回全国都市緑化きょうとフェアの開催テーマである「緑の文化その伝統と創生」を如実に表現し、京都における縁と京都文化の関わりを探る場とするとともに、その新たな展開に寄与し、ひいては京都文化そのものの再発見・再構成を促すことをも目的としました。このため、近年、定形化・形式化している作庭技術や庭園空間から脱却し、伝統工芸や関連する分野の協力を得て、古来の伝統技術を駆使した新しい自由な創作空間を創出しました。
  • 具体的には、京都の文化及び風土の特性を可能な限り多角的にとらえ、それぞれにテーマをもった10個の庭園的空問を配し、訴求力を高めるために、特に、意外性・審美性に富む明解なデザインに心がけました。
  • テーマは、プロローグとして「錦」「雅」と云った京都文化の華やかで優美な側面に焦点を当てたもの、「侘び」「幽玄」と云った奥行きのある自然観に根ざすもの、また能や歌舞伎の原点でもある「風流」「傾奇」、さらに「粋」と云った自由で前衛的な創作姿勢を強調するものの他、京都の風土を表象する「山紫水明」、京都の祝祭性と休息の場となる「宴」、及びエピローグとして京都の風土・文化特性を活かしながら将来に向けた新しいタイプの庭園となる「悠久」としました。
  • これらの10のテーマを持つ庭園的空間を一本の園路(回廊)でつなぎ、一方通行で順次もれなく巡ることができる構成としました。また、それぞれのテーマ空間の特性を踏まえ、テーマ空間相互における融和、あるいは離反等に配慮し、連続一体化させる場合、あるいは築山や樹林、流れ等を活かすことによって緩衝を図る場合、さらに竹垣等で「結界」とする場合、等により、全体として一つの庭園空間となる展示施設とし、様々な「景」が次々に展開する一種の廻遊式庭園としました。
テーマ・作庭者 デザインの要旨
錦(にしき)
藤井 稔:造園作家
饗庭智之:団扇師
  • 織りのデザイン・テクスチャを取り入れ、華やかさ、艶やかさを表現する。
  • 草花や苔を多く用い、敷瓦を使った新しい山水様式の庭園的な空間デザインとする。
雅(みやび)
久保義信:造園作家
駒井 修:フラワーアメニティプランナー
  • 優美で細やかな京都の風情を表象する。
  • 友禅流しの情景をモチーフにしたもので、伸子張が映し出されるステンレスの流れと草花等の調和を目指した、斬新でかつはんなりした空間デザインとする。
風流(ふりゅう)
斉藤正信:造園作家
川島雅人:建築家
  • 建築(屋内)と自然(屋外)とを、既成概念にとらわれずに自由に対比・調和させた、風流で洒落た空間。
  • 建具や屏風等を自由に用い、意外性の中に居住空間の新たな展開を担う。
傾奇(かぶき)
中原 茂:造園作家
岩田吉弘:京友禅染色家
  • 伝統的なデザインや技法を用いた新しい創作空間。
  • 扇流しのイメージや扇子等のフォルムを活かしたデザインを基調に、草花や流れを取り入れた自由で斬新な面を強調する。
宴(うたげ)
安田吉次:
京都府造園協同組合青年部部長
京都府造園協同組合青年部
  • 舞台、桟敷、御輿等を配した祭の場を演出するとともに、京野菜等を取り入れた「野」の景を展開させる。
  • また、床几等を配し、紅葉の下でくつろげる場を作る。
粋(すい)
北山安夫:造園作家
吉野由花:フラワーデザイナー
  • 瓦屋根と壁とで構成された小空間に、平庭・露地のデザインを基調に、石造品・陶磁器等の自然素材と工芸品による粋な空間デザインとする。
侘(わび)
寺石隆一:造園作家
森 勝敏:建築家
  • 侘び寂びの底流にある鄙(ひな)をコンセプトに、野趣に富む自然な林園やわらぶき屋根の四阿等を配し、ひなびた山里の風景を表現する。
幽玄(ゆうげん)
豊田委砂武:造園作家
中村弘二:環境デザイナー
  • 岩場、深い樹林等の深山幽谷をモチーフとした空間デザインとする。
  • 霧の演出で、自然の持つ深遠さを効果的に表現する。
山紫水明(さんしすいめい)
茨木和幸:造園作家
森 小夜子:創作人形作家
  • 山すそに広がる田園から山河の空間の中に人形等を配し、かつての洛外の原風景をジオラマで表現する。
悠久(ゆうきゅう)
岡本耕三:造園作家
立花正充:建築家
  • 9つのテーマ空間を踏まえ、湧泉、ケヤキの大木、背景の山並みを主要素に、京都の風土や文化特性を活かしながら、将来に向けた新しいタイプの庭園を提案する。
庭園を見る
  • 発注:第11回全国都市緑化きょうとフェア実行委員会
  • 設計期間:1993年7月〜1994年7月
  • 施工期間:1994年7月〜1994年9月
  • 所在地:京都市下京区観喜町
  • 規模:1.0ha
※このページは、「造園作品選集1996(社団法人日本造園学会)」に掲載された記事を基に、加筆修正したものです。
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