天王寺動物園「アジアの森(ゾウ舎)」について
1.あらまし
  • 平成16年1月31日に天王寺動植物公園アジアの森(ゾウ舎)が完成しました。
  • アジアの森(ゾウ舎)は動物とその動物が生息する環境とを同時に展示する“生態的展示”の手法を用い、自然環境に近い形でアジアゾウの飼育,展示を行う施設です。
  • アジアゾウは生息環境の破壊により頭数が激減し、1988年に絶滅危惧種に指定されました。アメリカでは野生復帰を目指した“種の保存計画”への取り組みが行われています。
  • アジアゾウの身体的な特徴をあげると、オスゾウで体重が6.5t、体高は最大3.5mと地上動物では最大級であるとともに、知能が高く記憶力にも優れていると言われています。それゆえゾウの力に耐えうる施設であるとともに、知能が高いゾウの精神面や健康面に十分配慮した計画を進める必要がありました。それから現在飼育されている2頭のうち1頭のゾウは高齢(春子推定55歳)であるため、今後老化現象に対応できる飼育施設整備計画を行っています。
  • また、動物園本来の機能であるレクリエーション機能を充実させるとともに、実物の動物を身近に観察し、野生動物が置かれている自然環境の現状を伝えるための環境学習施設として“楽しく学べる新しい動物園”を目指し、計画を行いました。
2.工事完成までの道のり
  • このゾウ舎は計画から設計、工事まで約8年の歳月を経て完成を迎えました。まず、タイやインドの現地調査から始まり、現地の調査を元に架空の国立公園とその周辺の村を想定し、具体的な施設整備計画を進めていきました。
  • また国内8園、海外6園の動物園の飼育施設の事例調査を行った結果、知能が高いゾウは習性などの個体差が大きく、その個体に合わせた独自の飼育方法を取っていることが分かりました。そこで、獣医師や飼育担当者など専門家と協議を積み重ね、天王寺動物園のゾウに適した飼育施設整備計画を行いました。
3.主な展示内容
■エントランス・森林ゾーン
  • 現況木を利用して、緑深いアジアの熱帯雨林の雰囲気を演出しています。ゾウに遭遇する前に足跡や糞などのゾウの“痕跡”を展示することにより、ゾウの住む環境を感じ、自然に学べる空間とすることを目指しました。
  • 隠しアイテムとして東南アジアに生息する動物達のレプリカ(複製)を所々に配置し、それらを探しながら森林散歩を楽しむこともできます。
■林縁部ゾーン
  • 初めてアジアゾウと遭遇するところ。森林が少し開け、森林で生活しているアジアゾウを木立の間から垣間見ることができます。
■農耕地ゾーン
  • ここでは人間の経済活動の象徴として森を切り開いてできた農耕地の景色を展開しています。切り株の展示や農作物が荒らされないように監視する見張台などを設置し、野生動物と人間の関係を展示しています。
■ラストビュー
  • 展示の終点として、木製のデッキから池(プール)越しにゾウとゾウの生息地を一望することができます。各展示を見終わり、それらに対する“振り返りの場”になればと考えています。ゾウは暑がりなので運がよければゾウの水浴びシーンを目の前で見る事ができるかもしれません。
■屋内展示室
  • ゾウ舎の一部を一般公開し、夕方以降に収容されたゾウをガラス越しに近距離から観察することができます。この施設については、展示ストーリーとは関係なく、飼育に関するサインや、ゾウの大きさを体感できるよう原寸大でゾウの鼻のレプリカなどを展示しています。
(文:松本)